エッセイ

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  第2話 ファーストキス 

 忘れられない思い出があります。
 いつまでも心に残り、大切な宝物となるようなそんなメモリー。
 ふと思い出しては今のあなたに会いたくなる

 ◆◆◆◆◆


 留学中のホームステイ先。
 アメリカに来て、この家族と住んで数ヶ月。
 人も沢山集まる家だった。
 この日も数人ゲストが集まった。
 私は宿題があり、一緒に和んで輪に加わる気分でもなく、無視して一人で部屋にこもっていた。
 せっせと宿題に励んでいるとき、ホストマザーが皆ででかけるからと知らせに来た。
 バタンという玄関のドアが閉まる音。その直後辺りはすっかり静かになった。
 ほっとする一時。誰も家にいないのはとても気が楽。
 この時とばかり、部屋から出て、居間のソファーに腰掛けテレビをつけた。
 リラックスしていた時だった。
 すると後ろから声を掛けられた。
 「何観てるの?」
 振り返るとそこにタイラーがいた。
 彼は私の隣に座り一緒にテレビを観だす。
 タイラーは私より年下だけど、金髪でブルーの目。ずっと見つめたくなるとってもハンサム。
 この日のホストファミリーが迎えたゲストの一人。どうやら皆で出かけず家に残っていたらしい。
 家には他に誰も居ず、たった二人っきりで、ソファーに一緒に座りテレビを観るなんてと、私はうっとりと暫く彼の横顔を見つめていた。
 タイラーは私の視線に気がつき、私と目を合わせると、すっとさりげなく近づいて、気がついたら私はキスをされていた。
 嘘…… 私のファーストキス。
 まさか年下の君に、こんな簡単に奪われるとは思わなかった。
 油断していたら、また何度もキスをされた。年下の癖に手馴れて上手い。
 でも嫌じゃなかったのが本音。
 ほんとにかわいい、かわいい年下の男の子。
 だってたった二歳だったからね……
 あれからもう随分時が流れた。
 彼ももうすっかり大人。どんな風に育っているのやら。
 もし今会って、私のファーストキスを奪ったなんて知ったら、気絶することだろう。
 まさに若気の至り……
  私には楽しい思い出なんだけどね。
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