第四章


 キュウジとハナはいつもラブラブで、どんなときにも憚りなくその愛を表現しては、見るものの目のやり場を困らせる程だった。
 この幸せがいつまでもいつまでも続くようにと、新しい世界で二人は愛を誓い合い、熱くキスをするのだった。
「The End っと さてと、できた」
「何ができたんだい、リセ? さっきからPCに向かって真剣にタイプしてたけど」
「エヘ、ちょっと小説を書いてたんだ」
「何何、ジェスとの妄想?」
「ううん、違う。これはハナとキュウジの恋愛小説。ここでは、お婆ちゃんと青年だったけど、違う世界ではお婆ちゃんはとてもかわいらしい女の子なの。そこでキュウジと再会するんだ。二人は別の世界でラブラブしてるって話」
「そっか、いい話だね。あの婆さん、キュウジにベタぼれだったもんね。キュウジだって婆さんがとても若かったら絶対惚れてるだろうし」
「やっぱりミッシーもそう思うよね」
「ねぇ、また後でゆっくり読ませてよ」
「なんか恥ずかしいな。それより、ミッシーどこかに行くの?」
「うん、私はこれから、スカイラーとデートなんだ」
「ミッシーとスカイラーが付き合うなんて、思いもよらなかったわ」
「なんていうんだろう。あいつ、キュウジのことでずっと落ち込んでてさ、慰めてたら情が湧いちゃった。そういうあんたも早くジェスと付き合いなよ。ジェスだってそうしたいって思ってるのに。なんで焦らしてるのよ」
「だって、ジェスったら何でも私よりできちゃうんだもん。なんか一つでも勝つものがなければまだ付き合えないわ」
「それで、焦らして優位に立とうってことなのか。かわいそうなジェス」
「とにかく、なんでもいいじゃない。ほら、スカイラーが待ってるんでしょ。早くいってあげなよ」
「そういうリセも、ジェスに電話してやるんだな。待ってると思うよ」
 ミッシーに言われなくても私はすでにスマートフォンを手に握り締めていた。
 
 The End
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