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折角のお
祭りは雨で台無し。
客は遠のき、この大雨で殆どの屋台は姿を消していた。
三岡君の屋台も何度も見回し、前日の場所には跡形すらなかった。
なんでもっと早く起きなかったんだろう。
私は後悔しながら、辺りを探し回った。
もしかしたらまだいるかもしれない。
待っていてくれてるかもしれない。
うぬぼれの中に一筋の希望を抱く。
だけど、あの三人を見つけることはできなかった。
傘を差していても、肩は濡れて足はどろどろでびちょびちょ。
呆然とお寺の中で立っている自分が情けなく惨めだった。
このまま諦めて帰るのも悔しいくらい、暫くお寺の中を彷徨った。
そして賽銭箱の前を通ったとき、小銭を出して、つい投げてしまった。
願うことは三岡君にまた会えますように──。
連絡先も知らないまま、この先もう会うことは不可能だって思うと、神に頼るしかなかった。
この時ほど必死に願ったことはない。
高校の受験の時ですら、とりあえずくらいしか願わなかったのに。
もしかしたら、私のこと探しに戻ってきてくれるかも。
そう思いたくて絶望の中に自分でも馬鹿だと思うくらいの期待を抱いていた。
暫くお寺の建物の軒下で雨をしのぎながらたたずむ。
どれぐらい経っただろう。
足がとても冷える。
雨の勢いが弱々しくなり小降りになってきた。
お祭りはすっかり終わって、何も残さず雨とともに全てが流されてしまった。
ようやくもうだめだと諦めた。
ため息を一つそこにおいてお寺を後にした。
それでも何度も振り返る。
もしかして、もしかしてと思いながら、振り返った後がっかりすると言うのに。
諦めて一度去りながらも、突然衝動的に私はもう一度前日の屋台があった場所に走って戻ってしまった。
どうしても未練が残る。
だけどやっぱり彼らはいなかった。
そこで暫くぼーと立って、三岡君のことを思い出していた。
夢から覚めた虚しい気持ちで雨を見つめる。
傘から垂れる雨の雫が自分の涙に見えた。
三岡君…… 名前を呟くと、私のまつ毛が濡れた。