第四章


 また、マシューから会いたいと電話が掛かってきたある日のこと。
 私の思いはもう固まっていたから、声を聞いたとき、ぐっとお腹に力がこもった。
 相変わらず話し方は、物腰柔らかく優しく囁くような心地よさ。
 嫌な思い、すれ違い、習慣、文化、常識も含めて噛み合わなかったこと一杯だったけど、基本、マシューは優しい穏やかな人だと思う。
 だから、マシューが全て悪いと責めて憎い訳でもなく、人格を否定して悪口をいいたいとも思わない。
 やはり言葉の違いからくる、意思疎通の難しさというものが齟齬をきたす一番の原因だったと思う。
 その言葉も、ダイレクトに愛を囁いてドキドキさせてくれるいいところもあれば、習慣と常識の価値観の違いから来るお互い理解できない部分というのもあった。
 それは冷静になって後からじわじわと感じることなのだけど──。
 声を聞いていたら、またうやむやになって、心が揺れる。
 もうマシューとは終わらせなければならない。
 これをマシューとの最後の接触にしよう。
 それを思って必死に断ち切ろうと踏ん張っていた。
 電話越しから普段通りの他愛もない話がなされてくる。
 まだまだ心は揺らぎ続け、ずるずると同じ事を繰り返しそうになってしまった。
 ここが正念場。
 自分が一番何をしなければならないのか、結論はでているんだからあとはそれを伝えるだけ。
 この時、ケバイ女性と会っていたあの時のマシューの顔を思い浮かべた。
 デレデレとしたはにかんだ顔。
 私に優しくするように、あの時も三人の魔女達に優しく接して楽しんでいた。
 女性には優しく、あれがマシューの性格でもあるのだろうが、私もその中のただの一人だったと思い知らされた。
 男だから私ともチャンスがあればきっと寝たいと思っているだろうけど、寝たとしてもきっと彼女にはなれないものを感じる。
 このままずるずる一緒にいても辛いのに、マシューはそんなことお構い無しに接触してくる。
 もしかしたら私を飼いならして、その時を待っているのかもしれない。
 しかし私が都合いいように解釈しているだけで、本当のことはわからないし、マシューは純粋にただ友達として一緒に過ごしているのかもしれない。
 一概に「こうだ!」と決め付けるのは良くないし、その点は私も踏まえているつもりである。
 でも、どうしてもあれこれ色々な可能性を考えてしまい、自分の中で色々と話が膨らんで行っては、またそれを否定したりと不安定になって行くのを繰り返す。
 この時、必要なのは勇気だった。
 あのケバイ女性に言い寄られて、でれっと鼻の下を伸ばしたマシューの顔をしっかり思い出し、偶然あの時私と出会ったけど、私じゃなくてもマシューは宿題を持っていた限り誰かに声を掛けていた。
 私じゃなくても別によかった。
 そうなんだ、あれはあの時間あの場所に居れば、誰にでも起こるたまたまの偶然が、そこに居た私だったってことなんだ!
 マシューはハンサムで、スポーツ万能で、誰もが恋人にしたいと思うようなカリフォルニアボーイ。
 地元のアメリカ人女性や、同性である男性ですらかっこいいと思えるような風貌。
 それを考えたとき、私は自分に言い聞かせた。
 本当に私は何に対して恋をしていたの?
 お腹から湧き上がる力が震えとなった。
 勢いで口から言葉が出た。
「(マシュー、ごめん。もう会えない。電話もこれ以上掛けてこないで)」
「(えっ? 一体どうしたの?)」
「(マシューが誘ってくれると、やっぱり私はどこかで期待をしてしまう。でももうあの時みたいに戻れないし、マシューも戻りたいとも思ってない。だからこれ以上、私に思わせぶりな事はしないで欲しい)」
「(思わせぶりなんてしてないよ。そんな風に思われていたなら謝る。ごめん)」
「(もういい。マシューは悪くないのは分かってる。私が辛いだけ。もうこれっきりにしよう)」
 マシューは何度も謝っていた。
 責めたつもりはなかったけど、覚悟を決めて力んだから、言い方がきつく聞こえたかもしれない。
 でも正直、興奮して自分に苛立ってもいた。
 ずっと言えなかった燻った不満。
 その時の感情任せに八つ当たってしまった。
 でも一方で、自分でも思い切った事をやってると、どこかで冷静に自分自身を見ているもうひとりの私もいた。
 これで全てが終わる。
 亀裂がどんどん大きくなっていくのが見えた。
 あの時のウィッシュボーンの願いも、力が弱まり、七面鳥さんがバタバタ走り回って右往左往している感じ。
 七面鳥さんありがとう。夢を見させてくれただけで、満足よ。
 なんだか寂しく、ちょっぴり泣きたいけども、泣きながら笑って手を触れる心境。
 私が筋道立てて割り切ろうとしている間、納得いかないのは、いきなり責められたマシューかもしれない。
 でも、私の知ったことじゃない。
 自分の事だけを考え、強くならなくっちゃ。
「アイ ガッタ ゴー、バイバイ」
 強制的に電話を切ったとき、一瞬で燃え尽きた。
 終わった……
 すっきりしたわけでもなく、悲しんで泣き叫ぶという訳でもなく、呆然して腑抜けてしまって自分でもよくわからない。
 この後、時間が経てばまた色んな感情が湧くのだろう。
 のっそりとベッドに横たわり、窓を見つめた。
 相変わらず、カリフォルニアの空は爽快に青い。
 夏のカリフォルニアは最高に気持ちいい。
 この時期、雲のない青い空がどこまでも鮮やかに続いていた。

 それからマシューからの接触はなくなった。
 これで本当に縁が切れた。
 まだどこかで尾を引いて、ふと思いに耽ることもあるけれど、いつかは想い出になって笑える時がくる。
 後は時が解決してくれる。
 そう信じて、それまでは、なるようにしかならない。
 たまに友達と気晴らしに時々出かけて気分転換をしてみたり、大いに遊んでみたり、一つのことに拘らないで残りのアメリカ生活を満喫することに専念していた。
 友達も気を遣って色々と楽しいところへ連れて行って励ましてくれた。
 ところが、ある日の夜遅くのこと、何人かの友達と車に乗ってハイウェイを移動中、なんと目の前にオレンジ色のジープが走っていたのを見てしまった。
 まさかマシュー? あの独特の車は彼に間違いない。
 友達にかつての短い恋の事情を話し、好奇心が再び湧いてきて、ついあのジープの後をつけたくなってしまった。
 友達も尾行する案に乗ってくれて、暫く面白半分で後をつけてくれた。
 適当なところでやめるつもりだったが、オレンジ色のジープはハイウエィを降りて一般道路に降りていき、友達は乗りかかった船のごとくしつこく追いかけてしまった。
「もういいよ。やばいよ」
 とハラハラしてしまい、尾行をやめさせようにも、進路変更ができないまま、ずるずるついてってしまった。
 そしてオレンジ色のジープは大型スーパーマーケットの駐車場に入っていった。
 そこで、さようならできたものを、友達は不自然にぴったりとまだその後をつけている。
 なんだか嫌がらせしてるようで、私の方が焦ってくる。
 なんとかやめさせようと思った時、オレンジジープが駐車をし、友達もなんと真横に駐車してしまった。
 沢山駐車する場所が空いているのに、わざとらしく数秒違いで真横につけたから、さすがにそれはおかしいと思ったのか、ジープのドアが開いて、その停まった私が乗っていた車を探るように出てきた。
 やっぱりそれはマシューだった。
 もう誤魔化しきれなかったから、私もドアを開けて外に出た。
 私の姿を見るや、マシューは度肝を抜かれたように驚愕している。
「こんばんは」
 開き直るしかなかった。
 マシューもびっくりして、口を開けたまま暫くどうしていいのか分からないでただ突っ立っていた。
 マシューのジープの助手席には人影があった。
 私はそっちに目がいく。
 そこには髪の長いアメリカン女性が座っていた。
 そっか新しい彼女ができたんだね。
「(これからパーティがあるんだけど、キョウコたちも来ない?)」
 何を血迷ったのか、マシューが誘ってきた。
 あんなに酷い事を言って後味悪く電話を切って、それっきりだったのに、マシューは後をつけてきた私に優しく言葉を掛けてくれている。
 やはり悪い人ではない。
 でもなんだか滑稽だった。
 おかげで、馬鹿な事をした私の方が焦った。
「(デートの邪魔しちゃ悪いし、いい。ごめんね。マシュー。パーティ楽しんできてね)」
 私は再び車に乗って、そして友達に車を出してもらった。
 マシューはどう思っただろうか。
 最後に私の醜態を見せて、呆れてもらった方が楽しいや。
 でも何をやっているんだろうと、かなり自分の馬鹿さ加減に虚しくなってしまう。
「みんな、ご協力ありがとう。なんかおもしろかった」
 強がってそういいつつも、心にはひゅーっと乾いた風が嘲笑うように吹いていた。
 でもマシューに彼女ができたということを知れてよかったかも。
 そういうことにしておくね、七面鳥さん。

 ウィッシュボーンなんかに頼らなくとも、私は自分で見極める。
 なんだか一皮向けたような気分。
 失恋すればそれだけ強くなれって、次の恋にいかせる知恵がつくというもの。
 ここまで来るには紆余曲折があったけど、後になって振り返れば、冷静に見つめられる。
 全ては時間が解決してくれる。
 だけどそれを分かっていても、ちょうどその途中過程にいるときは、辛くて大変なのも確か。
 夢のような始まりから、一気に落ちて、ウジウジした恋だった。
 抜け出せずに、狭い範囲であれこれと悩み続けて、気持ちが溜まっていっては、病的にストーカーのように追いかける。
 見事に良くある展開に、そのままあてはまっていったもんだった。
 かっこいい人に近寄られて舞い上がり、あげくに自分で負の原因を作ったけど、これはこれで正しい判断だったのかも。
 あのままマシューの思うようになってたら、もっと苦しんでいたかもしれない。
 未然で防げた事が、今となっては救いだった。
 ドキドキし過ぎて恥ずかしく、男の人と付き合うのが消極的だったけど、アメリカに長期滞在して英語を喋るうちに積極になれたかもしれない。
 またはあつかましく図太くなった?
 色んな国の人と話せたことも視野が広がった。
 マシューとの恋の呪縛が解けたとき、世界は広いと思うようになった。
 これだけいろんな国の人を目の前にして喋っていると、知らずにパワーアップもしてくる。
 いろんな人がいる。
 個人的で付き合えば、どの国の人もみんな面白い。
 楽しい思い出一杯に、いろんな事を見つめて、考え方も変わっていった。
 あっと言う間の留学生活。
 いつまでもここに留まることはできないけど、この先も頑張っていけそうな、そんな力をもらったような気がする。
 英語力も自分が目標としていたところまではこれたし、得るものは多かった。
 失恋だってその中の一つ。それでよかったんだ。

 さて、そろそろ帰国が近づいてきた頃のこと。
 名残惜しくも、最後まで楽しもうと校舎の中庭で沢山の友達とわいわいと騒いでいたある日のことだった。
 私は見てしまった。
 少し派手な蛍光がかった黄緑色のキャップを被り、自転車を押してそこに現れる男を。
 見覚えがある。
 でも私は見てみないフリをして無視をする。
 その男も、周りに溶け込んでいる私に気がつかず、まさかそこに私がいるなんて思わなかったはずだ。
 彼はメガネをはずし、以前よりは少し派手な風貌になっていたが、見るからにカリフォルニアのハンサムボーイを演出していた。
 私もそれなりに風貌が変わっていた。
 髪は少し伸び、パーマもかけてウエーブがかっている。
 以前より女らしくなっていたと思う。
 自分で言うのもなんだけど、いろんなことにもまれて、角がとれて、垢抜けていた。
 そんな変貌を遂げた私が居るとも知らずに、その男は自転車を押してこっち向かって近づいてい来る。
 距離が近くなると焦りだし、私は座っていた椅子からそっと腰を浮かして逃げようとした。
 でも一足遅く、マシューはそれに気が付き、はっと目を見開いた。
 でも、何事もなかったように平常心を装い、方向転換してその場所から去っていった。
 私に気がついて、逃げたのだろうか。多分そうだろう。あまりにも不自然な動きだった。
 だけど、そんなことはもうどうでもいい。
 でも、マシュー、お元気そうで何よりです。

 そして、時は経ち、とうとう帰国の日が決まって、帰る一週間前のこと。
 トーマスが、最後だからと私を食事に連れて行ってくれた。
 トーマスとはほんとにいい友達だった。
 こんなのもありなのかもしれない。
 男の人との免疫がなかったけど、こうやって言葉も人種も違いながらここまで仲良くできたことが、自分の中で何かが根付いてコミュニケーション力がアップした感じだった。
 トーマスもまたいい人だった。
 男と女の友達ってこんな感じなのだろうか。
 それも味合わせてもらって、いい経験となりました。
 そのトーマスと、最後をレストランで食事していると、路上駐車のメーターが切れるからコインを入れてくると突然席を立った。
 私は一人テーブルに置き去りにされて、ちょっと不安になっていた。
 しばらくすると彼が戻ってきた。
 不自然に右手を後に隠している。
 周りの人たちが急に私たちの方を見て、こそこそ話し出して、注目を浴びてしまった。
 ざわざわとしたレストラン内で、私に向かってトーマスがその右手を差し出した。
 そこにはかわいらしい花のブーケがあった。
 私はびっくりしながらもそれを受け取ると、レストラン内で一斉に拍手が湧き起こった。
 何か、みんな勘違いしている。
 でも、映画のシーンみたいでいい気持ちだった。
「サンキュー、トーマス」
 トーマスは笑っていた。
 私もなんだか照れる。
 こんな事をしてくれるのはトーマスだけだった。
「キョウコが日本に帰るなんて信じられない。どうしよう、僕たち。仕方がない、結婚しようか」
「おー、トーマス……」
 なんというロマンチックなシチュエーション。
 ぽっとするし、グッともくる。
 私は笑顔になった。
「色々とありがとうね。でもノーサンキュ。最後まで楽しませてくれてありがとう」
「オー、ノー……」
 あくまでも和やかな雰囲気だったので、断っても気まずくなかったが、どこまで本気なのか、どこまで冗談なのか、全く読めない人だった。
 もしかして、トーマスは予備として七面鳥さんが働きかけてくれたの?
 でもトーマスは友達だから、これ以上の事は望まない。
 こうやって帰る間際まで私を持ち上げてくれたことだけで、私は気分がよかった。
 少しでも、もてたんだよという自尊心にもつながる。
 そんな楽しく語れるエピソードができただけでも、留学の醍醐味かもしれない。
 
 七面鳥さん、色々と楽しい魔法をありがとう。
 だけど、まだ願いを叶えようとしてくれて、どこかで糸をしつこく繋ぎ合わせてくれてるのだろうか。
 お陰で、帰る直前ギリギリまでマシューと出会ったような事が起きてしまった。
 日本へ帰国する数日前、私はバスに乗っていた。
 名残惜しく、移り変わる見慣れた街の景色を見つめてセンチメンタルになっていた。
 その時、停車したバス停で車椅子の乗客が乗ってきて、中々上手く乗れなくて戸惑っていた。
 そこに、かっこよく一人の男性が現れ、それを手伝ってあげていた。
 その一部始終に釘付けになって、最後まで知らずとじっと見ていた。
 なんか態度がスマートでかっこいい人だと感銘していたとき、その男性は私と目が合ってニコッとしてきた。
 私もつい微笑み返してしまう。
 そして車椅子を所定の位置まで運んで、手伝いが終わった後、彼は当たり前のように私の方に向かってきて隣に座ってしまった。
 私がずっと感心して見てたからかもしれない。
「(君、かわいいね。名前は? どこに住んでるの?)」
 しかし、言葉を掛けられたとたん、なんだこの人と思った。
 マシューに似たものを感じ、やんわりと拒絶の態度を取る。
「(私、もう次で降りるので)」
「(それじゃ、電話番号教えて)」
「(家に今電話がないので、それじゃあなたの電話番号教えて下さい)」
「(ほんと、ちゃんと電話してくれる?)」
 その男は自分の手帳から紙をやぶり、急いで自分の電話番号を書いて私に手渡した。
 名前を聞かれ、その男が慌てて自己紹介をしている最中、バスはブレーキが徐々にかかって停まろうとしていた。
 私は焦らず、最後まで男の話をきっちりと聞いた。
「(それじゃ、またね)」
 私はにっこりとその男に微笑んだ。
「(絶対電話してよ)」
 そうしてバスを降りた。
 バスを降りてから、暫くその場に留まり、そのバスが発車するのを待っていた。
 男は窓から私を見ている。
 私も手を振り、そしてバスは去っていった。
 そのバスが去って行くのを遠くに見届けてから、私は男から貰った電話番号の紙を一度見て、そしてくしゃっと握りつぶし、その場にあったゴミ箱に捨てた。
 その後は賑やかな道を何事もなかったように歩いて行く。
 空がとても真っ青で、まさにカリフォルニアそのもの。
 こことももうお別れ。
 なんか寂しくて、悲しくて、つらい。
 だけど振り返れば全力で楽しかった。
 そして七面鳥さん、最後の最後まで願いを叶えようとしてくれてありがとう。
 恋多き乙女を味わえました。
「うん、めでたしめでたし」
 どこまでも続くこの青い空のように、私の心も清々しくいつも晴れでありますように──。
 だけどこの日は狐の嫁入りだった。
 なぜか目から雨の雫が流れてくる。ぽろぽろとどしようもなかった。
 さようなら、カリフォルニアの空。
 さようなら、楽しかった思い出。
 さようなら、マシュー。
 いつか、きっと楽しかったと思える恋になるだろう。
 誰かに話したとき、笑ってもらいたいくらいに──。
 カリフォルニアの留学は楽しかった恋の思い出を添えて、人生最高の楽しい経験となった。
 さあて、この先、私は誰と出会って恋をするのだろう。
 あっ、七面鳥さん、それは自分で見つけますから。
 さようなら、七面鳥さん。

 だけど、本当はね、帰る当日大泣きしました。
 カリフォルニアを去るのが辛くて辛くて──
 楽しかったことはもちろんだけど、悪いことも、辛かったことも、くやしかったことも、ネガティブだったこと全部含めて、愛おしかった。
 そんな様々な思い出を振り返りながら、日本行きの飛行機に乗ろうとゲートに向かっていた。
 そこでIDを首にかけ、仕事をしていた空港関係者の男性とすれ違いざまに目が合ったので、気分高まり「ハーイ」と挨拶をかわした。
 ノリのいい男性は私に話しかける。
「(君、いい笑顔だね。どこ行くの?)」
「ジャパン!」
「(えっ、帰っちゃうの?)」
「(そうだよ)」
「(ああ、残念だね。とてもかわいいのに。一緒に食事したかったな)」
 おいおい、またかよ。
 でも気分はよかった。
 これも七面鳥さんの最後の計らいなのかな。
 そして、最後にその男性が私に言った。
「Have a nice trip to Japan!」
 私は笑顔で手を振って応えた。
 その後、いつまでもその言葉が私の耳に残っていた。
 


 <The End>


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