第一話 離婚間際の恋愛ゲーム
1
初めまして。
えっと、その、あの、何から話しましょう。
あっ、そうですね、まずは自己紹介からですね。
えっと、どうしましょう。上手く話せなくて緊張してしまいます。
私、とっても気紛れな野郎でして、えっと、今回現れましたのも、なんとなくでして、普段はフラフラとその辺を浮遊しているというのか、人々の妄想を覗き見しては笑わせてもらってます。
あっ、申し送れました。
私の名前はそうですね、妄想大好き妖精のヨッシーとでも呼んで下さい。
本名は敢えて伏せておきます。
初めての登場ということで、今回一張羅の黒いタキシード着てきました。シルクハットも被ってます。
実はこれしかいつも着ないんですけどね。
ちょっと襟元を調えてポーズなど取っちゃったりして。
容姿なんですが、ナマズのような髭がにょろっと生えてますけど、これが大切なものでして、私に力を与えてくれてます。
人間には不評みたいなんですけど、それでもそこそこ男前かと。自分で言ってるだけなんですがね。
まあキリリとした眉毛に水晶の玉のようなキラキラお目目。ちょっと猫系入ってますかね。
髪は少し不規則に跳ねさせて、といっても実は寝癖なんですが、ちょっと緑っぽい色ですわ。
肌は色白で透き通ってますかね。青白く顔色悪いとよくいわれますけど。
笑うと牙が見えて、吸血鬼っぽいかもしれませんが、私は血は吸いません。タバコも吸いません。
でもぺろぺろキャンディーなんか手に持ってるときあります。
甘党です。パフェなんかも好きです。
そしてチョコレートはちょっと拘りがありまして、品質に煩いですよ。
あっ、そうそう、肝心なことお伝えしないと。
実は私、一応妖精の類でして、人間が妄想した恋愛を現実にしてあげられる力を持ってるんです。
先ほども申しましたが、力を与えてくれるこの髭をちょっと一ひねりすると魔法が使えるってなわけです。
だけど最初に申しましたけどすごく気紛れなので、気が向いたときにしかしません。
しかもやり方はいい加減ときてるので、別に人々の願いを叶えるために使命を帯びたそんな責任感は全くありません。
なんとなく面白そうだなと思ったことに手を加える程度です。
それで一体何しにきたかというと、最近暇を弄んでいて、久々に私も何かをやってみようかなと思い立ち、妄想恋愛相談所みたいなものを作ってみました。
そんな大したもんじゃないんですけど、これもまたなんとなく閃いたものにちょっと手を加えてみてもいいかななんて、軽い気持ちからです。
折角特別な力を持っているので、何かやってみたくなりましてね。
最近、少子化に晩婚、ましてや婚活で結婚相手を見つけなければ結婚しにくいときている。
なんか役に立てたらと思いましてね。
まあこれは建前の理由なんですが、本当は体も訛ってきたし、やることないのも寂しいなと思っただけなんです。
要するにただの思いつきのテキトーにやっちゃえって感じです。
そこで、色々な恋の妄想とやらをちょいと手を加えて、人間の恋愛を手伝ってあげようなんて思いました。
私も表向きは貢献するつもりという事です。
まあ、結果はどうなるかわかりませんけど、とにかく遊んで…… いえ、人々を幸せにしてみようと思います。
さて、記念すべき一人目になる人はもう決まっています。
どんなことするか興味がおありでしたら、どうぞこのまま見ていって下さいな。
語り手は助手に任せております。
ではでは、また後ほどに。